ペットを飼っている場合、水分補給はとても重要です。
近年、水道水ではなく、ウォーターサーバーや市販のミネラルウォーターなど、より安全で衛生的な水を飲むことが増えましたよね。
「ペットにも水道水ではなく、美味しくて衛生的な水を飲ませたい」と感じる方も多いでしょう。
しかし、ペットに与える水は、必ずしもミネラルウォーターが適しているとは限りません。
今回は、ペットに水道水は飲ませても安全なのかどうか、ペットに適した飲み水について解説していきます。
ペットにとっての水の重要性
犬や猫の体は、体重の60~70%が水分で占められています。
体内の水分は、食べ物の消化・吸収、体温調節・塩分調節、不要な物質の排泄等、様々な生命活動に欠かせません。
適切に水分を摂取せずに体内水分量が減ると、血液がドロドロになり血管に負担がかかるようになります。
また内々に有害物質も溜まりやすくなり、その結果として老化を加速させたり内臓系の病気を引き起こす可能性を高めることになります。
飼い主さんは、ペットの食事・運動・睡眠だけでなく、飲水量にも配慮してあげることが大切です。
ペットに水道水を飲ませても問題ない
結論から言うと、ペットに水道水を飲ませても全く問題ありません。
日本の水は検査項目も多く、水質基準も高いため、ペットや人間が飲んでも健康に悪影響を及ぼす心配はありません。
また、人間にも言えることですが、ミネラル分を多く含む水を飲むと、健康に影響が出てしまう恐れがあります。
日本の水道水は基本的にミネラル分が少ない軟水のため、ペットに飲ませても問題ありません。
水道水には、塩素やトリハロメタンなどの有害な物質も含まれていますが、微量なためペットの健康に悪影響はないでしょう。
参考:厚生労働省公式サイト 水質基準項目と基準値(51項目)
水道水は熱帯魚の飼育も問題ない
水道水は熱帯魚の飼育も問題ありません。
ただし、水道水をそのまま水槽に入れると、魚がカルキを吸収してしまい健康被害が出ます。
水道水を水槽に入れる前に太陽の光に当ててカルキ抜きをしてください。
カルキを抜くためには屋外ならば6時間以上、室内なら3日程度放置することが重要です。
熱帯魚飼育用の中和剤を使用する場合は、説明書通りに水道水を使用してください。
残留塩素による殺菌効果もある水道水は、うまく活用すれば熱帯魚の病気が防げます。
ペットには硬水ミネラルウォーターよりも水道水がおすすめ
ペットに使う水は硬水よりも軟水である水道水がおすすめです。
カルシウムやマグネシウムが多く含まれている硬水を飲んでしまうと、ペットの健康に影響する可能性があります。
下痢による脱水症状を引き起こす原因になるので、ペットに硬水のミネラルウォーターを与えることは避けましょう。
「ペットに硬水を与えても問題ない」という情報もありますが、子犬や子猫の段階で飲料水として使うことはおすすめできません。
健康面やコンディションによっては影響を及ぼすことがあるので注意してください。
人間にとっては健康ケアや水分補給に適しているミネラルウォーターですが、動物に与えるときは水質のチェックを必ず行ってください。
軟水である水道水を、ペットの飲料水として活用しましょう。
ペットに飲ませる水の条件
ペットに飲ませる水の条件は、「ミネラル分が少ない水」「雑菌が繁殖しにくい水」の2つです。
ペットの健康を守るためにも、上記2つの条件は守る必要があるでしょう。
ミネラル分が少ない水
ペットに飲ませる水の条件の1つ目は、「ミネラル分が少ない水」です。
犬や猫が発症しやすい病気の1つに、尿結石症というものがあります。
尿結石症とは、膀胱や尿道、腎臓に結石ができてしまう病気で排尿の際に痛みを感じるようになってしまいます。
尿結石症が発症する原因は、カリウム・カルシウム・マグネシウムなどのミネラル分の過剰摂取によるものです。
水道水にもミネラルは含まれていますが、水道水程度の量ではほとんど問題ありません。
しかし、ミネラルウォーターのように、ミネラル分を多く含んだ水を与えすぎると、尿結石症を発症する危険が高まります。
そのため、ペットに飲ませる水はミネラル分が少ない、水道水が適しています。
日本の水道水は基本的に軟水で、ミネラル含有量が低いですが、地域によっては硬度が高い場合があるため注意が必要です。
雑菌が繁殖しにくい水
ペットに飲ませる水の条件の2つ目は、「雑菌が繁殖しにくい水」です。
ペットに飲ませる水は、当たり前ですが雑菌が繁殖してない衛生的な水が適しています。
雑菌が繁殖している水を飲ませると、下痢になってしまい脱水状態になってしまう危険もあるため、衛生的な水を飲ませてあげましょう。
手に入れやすくて雑菌が繁殖しにくい衛生的な水は何かというと、水道水が挙げられます。
水道水は、浄水の過程で消毒剤である塩素が加えられ、塩素によって水道水の雑菌の繁殖を抑えています。
ミネラルウォーターやウォーターサーバーの水には、塩素などの消毒剤が含まれていないため、水道水よりも雑菌が繁殖するスピードが早いです。
そのため、ペットに飲ませ水は水道水が適しています。
犬は直接口をつけて水を飲むため、雑菌がすぐに繁殖してしまいます。
衛生面を保つためにも、こまめな水の交換を心掛けましょう。
ペットのからだに合う軟水
水道水はペットの体に合う軟水です。
日本の水道水を飲み慣れているペットの場合、軟水を飲みやすいと感じることが多いでしょう。
日本の水道水は、ほとんどが地質の特性からミネラルがあまり含まれません。
体に与える刺激が少なく、体調に不安があるペットや胃腸が未発達の仔犬や仔猫も安心して飲めます。
マグネシウムやカルシウムが含まれている量が少ないので、風味に硬さがないことも軟水の特徴です。
ペットに水道水を飲ませるメリット
ペットに水道水を飲ませるメリットは多くあります。
- 値段が安い
- 雑菌が繁殖しにくい
- 尿結石症になるリスクを抑えられる
水道水を与えることで、病気の予防になる可能性もありますよ。
値段が安い
なんといっても水道水は、市販のミネラルウォーターやウォーターサーバーよりも安く済ませます。
済んでいる場所によっても異なりますが、水道水を1,000ℓ使用したとしても、約200円で済みます。
市販のミネラルウォーターを購入した場合は、500㎖で約100円です。
ペットの水は雑菌が繁殖しやすいため、こまめな水の交換が必要です。
そのため、ミネラルウォーターだと水道水と比べてかなりの金額がかかってしまうでしょう。
雑菌が繁殖しにくい
既に説明しましたが、水道水は雑菌が繁殖しにくい水です。
その理由としては、水道水には微生物などの繁殖を防ぐために塩素などの消毒剤(塩素)が含まれているからです。
塩素が含まれていると独特な匂いがするため、現在では塩素が除去されているミネラルウォーターを飲む方が多いですが、雑菌が繁殖しやすいというデメリットがあります。
ペットの水には雑菌が繁殖しやすいため、水道水を飲ませるようにしましょう。
尿結石症になるリスクを抑えられる
日本の水道水を飲ませると、尿結石症になるリスクを抑えられます。
尿結石症は、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル分が原因で発症する病気です。
硬水などのミネラルを多く含む水を飲み続けると発症しやすくなります。
日本の水は軟水で、ミネラル分がそこまで多く含まれていないため、尿結石症になるリスクを抑えられるでしょう。
尿結石症とは膀胱や尿道にミネラルの結晶ができる病気
尿結石症とは、尿中のミネラル濃度が高くなり、膀胱や尿道にミネラルの結晶ができる病気です。
症状は様々で、下記のような症状が出ていたら尿結石症の可能性があるため、1度病院に連れて行くのをおすすめします。
- 違う場所で排尿するようになった
- トイレの回数が多い
- 血尿が出る
- 排尿の際に痛がる
- トイレの回数が少ない
- 下腹部を押すと嫌がる、痛がる
- 吐き気がある
1度発症してしまうと、なかなか完治せず、再発の危険もあるため充分注意しましょう。
尿結石症になると、ご飯に制限がかかってしまうため、ペットにとってもストレスになってしまいます。
ペットが1日に必要とする水の量
犬や猫の必要飲水量には諸説ありなかなか明確な基準というものはありませんが、おおよその量を把握しておくことは可能です。
【犬・猫の1日の必要飲水量=体重1㎏あたり約50~60ml(食事に含まれる水分は含まない)】
ただし必要飲水量は、ペットの体格や運動量、その日の気温や食事に含まれる塩分・水分量等によっても変化していきます。
あくまで目安として参考にし、どうしても個体ごとの正確な飲水量を知りたい場合は獣医師に相談すると良いでしょう。
ペットが飲む水の量をチェックする方法
ペットが飲む水の量チェックする方法は以下の通りです。
水容器に入れた水の量 - 飲み残した水の量 = 飲水量
最初に容器に入れる水は、やや多めの量を測ってください。
そこからペットが飲み残した水の量を引くと、飲水量が計算できます。
1日のうちに水を入れ替える場合は、この作業を毎回行います。
記録した飲水量を足して、1日あたりにペットが飲む水の量を計算してください。
ペットに水道水を与えるポイント
ペットに水道水を与えるポイントを紹介します。
水を与えるときはペットの飲水量をチェックすることも重要です。
夏場と寒い時期では1日に飲む水の量が異なるので、季節に応じて工夫することも忘れてはいけません。
ペットが飲む水の量は少なすぎても多すぎてもいけない
ペットが飲む水の量が少ない場合や多すぎるときは、健康面のチェックをしてください。
飲む水の量が少ない場合、水分不足による健康への悪影響が考えられます。
便秘を起こしたり脱水症状になったりする可能性があるので気をつけましょう。
ただし、加齢によっても1日あたりに飲む水の量が減ります。
1日に飲む水の量が多すぎる場合は、糖尿病や腎臓に関わる病気、尿崩症(にょうほうしょう)などが考えられます。
ホルモン異常の可能性もあるので、かかりつけの動物病院への相談をおすすめします。
暑い時期や興奮している時などは水の量が増える傾向にあるので、こまめにペットの様子を確認してください。
きれいな浄水を1日に2~3回入れ替える
ペットに水道水を与える場合は、きれいな水を1日あたり最低でも2回は入れ替えましょう。
水道水に直接口をつけて飲むので、ペットの水は雑菌が繁殖しやすいことに注意が必要です。
容器に入れた水を放置してしまうと雑菌が繁殖します。
ペットの毛や唾液が混入することも考えて、水はこまめに取り替えてください。
水を取り替えるときは、容器の洗浄を忘れずに行いましょう。
整水器や浄水器を通したきれいな水を使えば、さらに清潔さが保てます。
ペットが水道水を飲まない時の対処法
ペットが水を全然飲まないと悩んでいる方いませんか?
水の摂取量があまりにも少ないと、尿結石症になる危険が高まります。
水分摂取量が少ないと、尿の酸性とアルカリ性のバランスが保たれなくなり尿道などに結石ができてしまうのですね。
対処方いくつかあるため、紹介していきます。
- カルキ抜きをする
- 水飲み場を増やす
- ウェットフードを与える
- 水の容器を変えてみる
- 水の温度を変えてみる
- 水の容器を置く高さを変える
カルキ抜きをする
猫に多いのですが、水道水のカルキ臭を嫌がり、水を飲まない場合があります。
水道水には塩素が含まれており、気温などの環境によって、カルキ臭が強くなる可能性があります。
カルキ臭を嫌がっている場合は、水道水を沸騰させて冷蔵庫で冷やすことで、かなりカルキ臭を抑えられるでしょう。
しかし、塩素を除去してしまい雑菌が繁殖しやすくなっているため、いつも以上にこまめな水の交換を心掛けてください。
水飲み場を増やす
原始的な方法ですが、ペットの水飲み場を増やす方法も効果的です。
ペットがいつでも好きな時に水を飲めるようにしておけば、水分摂取も多くなるでしょう。
ウェットフードを与える
どうしても水を飲んでくれない場合は、ウェットフードを与えてみるのはどうでしょうか。
ウェットフードとは、通常よりも水分量が多いペットフードで、食事と同時に水分補給ができます。
ウェットフードが手元にない時は、ドライフードをお湯でふやかして食べさせると、ウェットフードの代わりになります。
水の容器を変えてみる
水の容器を変えてみると、水をよく飲むようになる可能性があります。
猫や犬などの口元に長い髭が生えているペットは、容器に髭が当たるのを嫌がります。
髭が当たるのが嫌で、水を飲まなくなる場合もあるため、容器を変えてみるのは効果的です。
小さい容器を使用している方は、大き目な容器に変えてみてはいかがでしょうか。
水の温度を変えてみる
ペットが水を飲まない場合は、お湯を混ぜて与えてみましょう。
ぬるま湯であれば、冷水よりも飲みやすい犬や猫も多数います。
飲料水の温度にこだわっているペットは、冷たい水道水に拒否反応が出ることがあるので注意してください。
暑い時期や夏場の場合、氷水を与えてしまうとペットがお腹を壊すので避けましょう。
水を置く高さや場所を変える
水を置く容器の位置と、ペットの頭の高さをそろえてみましょう。
水の容器が低すぎたり高すぎたりすると、飲む頻度が減る原因になるため、楽な姿勢で飲めるように台などを活用するのもいいでしょう。
自分の口の高さが水の入った容器と合っていないと、ペットは飲みにくく感じます。
年を取ったペットや首を下げた体勢をとるのがつらそうな場合は、とくに注意してください。
水が入った容器の位置をあげることで、飲みやすく改善できることがあります。
スタンドや台をつかって、ペットが飲む水が入った容器の位置を調整しましょう。
ペットに安全なお水を飲ませたいならウォーターサーバーもおすすめ
ペットに安全なお水を飲ませたいけど、水道水では何となく不安…という方もおられるかと思います。
水道水に含まれている塩素(カルキ)は、ペットが摂取しても健康に影響するような量ではありません。
むしろその殺菌作用で、細菌の繁殖を防いでくれるメリットがあります。
とはいえ、薬品の注入された水道水に不安を感じる飼い主さんもいるでしょうし、カルキの臭いを嫌って水道水を飲みたがらないワンちゃんや猫ちゃんもいます。
そんな時におすすめなのがウォーターサーバーです。
ウォーターサーバーの水の特徴
ウォーターサーバーなら、こだわりの採水地から汲んだクリーンな天然水や、RO膜という高性能フィルターでろ過したお水をいつでも手軽に飲ませることができます。
水がウォーターサーバーのタンクに入っている間は、サーバーのクリーンシステムによって細菌の繁殖が防がれていますし、当然塩素は入っていないのでカルキ抜きの手間もいりません。
また、基本的に各メーカーの天然水は軟水となっています。
一度口をつけたお水を長期間放置しないでこまめに交換すること、天然水の場合は軟水であることを確認すること。
この2点を意識すれば、安全でクリーンなお水をペットと楽しむことができますよ。
ペットに飲ませる水として水道水は最適!
いかがだったでしょうか。
ペットに飲ませる水は、衛生面はもちろん硬度が重要です。
硬度が高すぎる水を飲むと、尿管結石になるリスクが高まってしまいます。
日本の水道水は基本的に軟水で、殺菌作用のあるカルキが入っているおかげで衛生的です。
安心して飲ませることができますよ。