水道水を飲んだとき、あまり美味しくないと感じたことはあるでしょうか。
実は美味しくないのも当然で、水道水は家庭に届くまでに様々な菌が繁殖しないように塩素を含んでいます。
この塩素が「カルキ」の原因であり水の中から抜かなければ、メダカや金魚の飼育には使えませんし、人間にとってもあまり良いものではありません。
そこでこの記事では、水道水からカルキを抜く方法やかかる時間、カルキを抜く手間なしにきれいな水を使う方法も解説しています。
水の味にこだわりを持っていたり、メダカなどの飼育をしたりしている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
カルキ(残留塩素)とは何?
カルキとは水道水内に含まれる塩素を含んだ石灰のことで、次亜塩素酸カルシウムのことです。
そもそもなぜ水道水内に塩素が含まれているのかというと、水道水を塩素なしに家庭まで届けると、菌が繁殖し安全に利用できる水ではなくなってしまうからです。
水道水が家庭に届くまで殺菌し続け、安全な水を人々に届けるために塩素が入っています。
カルキ臭がするということはしっかり殺菌されているということなので、安全の保証ではあるのですが、やはり匂いは気になりますよね。
水道水に美味しい味を求める方は自分でカルキを抜く必要があるため、カルキを抜く方法を確認しておきましょう。
水道水のカルキを抜く7つの方法
水道水からカルキを抜く方法は以下の7つがあります。
- 水道水をバケツなどに汲み置く
- 水道水を沸騰させる
- 市販の中和剤を使う
- 浄水器を利用する
- 炭を利用する
- レモン汁を使う
- エアレーションを利用する
1つずつ解説します。
バケツなどに汲み置く
水道水をバケツなどに汲み、6~24時間日光の当たる場所においておくとカルキを抜くことができます。
時間がかかっても良いから大量の水道水のカルキを抜きたい方にオススメで、特にメダカや金魚を買っている方には便利な方法です。
ただしこの方法は天気や気温によってカルキの抜け方が変わりますし、終わった後もカルキが抜けきったかどうか不透明であるため、市販の測定器で測るのが安心ですね。
水道水を沸騰させる
水道水を沸騰させて水の中から塩素のみを蒸発させる方法で、時間も20分ほどであまりかかりません。
塩素の除去には約10分ですが、このとき発がん性のあるトリメタトロンが増殖してしまうので、トリメタトロンを除去するためにプラス3~10分の煮沸を必要とします。
また、電気ポットや瞬間沸騰器を使えば5分ほどでカルキを除去できるため、持っている方は利用したほうが良いです。
利用する際は1度沸騰した水を、やけどしないように冷ましてから使いましょう。
市販の中和剤を使う
パイポという数百円で販売している中和剤を使って、水道水のカルキを抜く方法もあります。
水道水を容器に入れ、パイポを水の中に入れ5~30分放置するだけでカルキを抜くことが出来る、最も手間のかからない方法。
パイポには液状型と固形型があり、液状型であれば水に投入してから約5分、固形型であれば約40分の放置を必要とします。
ただしパイポを利用してカルキを抜いた水道水は、メダカや金魚などの飼育には使用できますが、飲水としては使用できませんので注意しましょう。
また、説明書に従い適量で投入しないと、魚にも有毒なものになるため合わせて注意してください。
浄水器を利用する
浄水器を利用すれば、カルキだけでなく水道水内の鉄さびなどの不純物も取り除けます。
水質がかなり安定するため、飲料水としてはもちろん、水質に敏感な熱帯魚やサンゴの飼育にも利用できます。
ただ、費用が高いことと、水道代が予想以上にかかることは大きなデメリット。
初期の購入だけで1万円程度かかり、浄水器の寿命(約1年)毎に新しいものを購入しなければいけません。
安全面は完璧ですが、費用で考えるとあまりおすすめできない方法です。
炭を利用する
水道水の中に備長炭や竹炭などの炭を入れて置いておけば、水道水からカルキを抜けます。
水道水1Lに対して約150gの炭を用意して、12時間程度置けばカルキ除去は完了。
またこの時、炭内のミネラルが水中に溶け出し、ミネラルウォーターのような仕上がりにすることもできます。
購入した炭は利用する前に洗うことと、1ヶ月ほどで炭を新しいものに交換することに気をつけて、この方法を使いましょう。
レモン汁を使う
レモン内のビタミンCを水道水の塩素と中和させることでカルキを除去でき、飲水として使うのに最適です。
具体的な方法は、コップ1杯の水にレモン汁を数滴垂らす方法、レモンを輪切りにしてコップに投入する方法の2種類があります。
除去にかかる時間は両方とも数秒ですが、輪切りにしていれる際は、レモンの皮に使われている防カビ剤に注意。
あらかじめ丁寧に洗っておけば良いですが、不安な場合はレモン汁を垂らす方法を選びましょう。
エアレーションを利用する
時間はかかりますが、エアレーションを使って水道水のカルキを除去する方法もあります。
エアレーションとは水中に空気を入れる、よく水槽で飼育する時にみる器具です。
水道水を容器に入れてフタを締め、2.3日エアレーションし続けるとカルキを除去できますが、時間がかかるのが最大のデメリット。
エアレーション中に太陽光を当てることで時間を短縮できますが、それでも時間はかかります。
しかし、エアレーションによるカルキ除去は安全性に富んでいて、薬剤や空気中のゴミが全く入りません。
時間がかかっていても良いから、安心してカルキを抜きたいという方にはおすすめの方法ですね。
各方法のカルキを抜くのに必要な時間
紹介した7つの方法それぞれにかかる時間を症にすると以下のようになります。
カルキ除去方法 | かかる時間 |
---|---|
汲み置き | 屋外:6~24時間 屋内:2~3日 |
沸騰 | やかん等:15~20分
瞬間沸騰器:約5分 |
中和剤 | 液状パイポ:数秒 個体パイポ:5~30分 |
浄水器 | 1時間で約23L |
炭 | 5~12時間 |
レモン | 数秒 |
エアレーション | 2~3日 |
各方法でカルキ除去にかかる時間はかなり違いますが、安全性や費用面でそれぞれにメリットがあります。
自分にあった方法がどれなのか考えてから、カルキ除去をしましょう。
水道水のカルキを抜いたあとは放置しない
水道水内のカルキの原因となる塩素は、水に菌が繁殖しないように入れられているため、カルキを除去すると安全に使える水ではなくなります。
おもに菌や微生物が繁殖し、飼育している魚はもちろん、人体にも害のある水になってしまいます。
カルキを抜いた水は清潔な容器で保管し、なるべく早く使い切ってください。
その日中か、どんなに長くても2日以内には必ず使い切るようにしましょう。
水道水からカルキを抜く3つの理由
水道水からカルキを抜かなければいけない理由は以下の3つです。
- 水道水の味を良くしたいから
- カルキの含んだ水は肌や髪質に影響するから
- メダカや金魚を飼育したいから
詳しく解説します。
水道水の味を良くしたいから
カルキを含んだ水は匂いも味も違和感があり、美味しくないですよね。
よく水を飲む習慣がある人は水の味わいにはこだわりを持つため、水道水内のカルキを抜いて美味しく飲みたいです。
こういった方はレモンを利用してカルキを抜く方法をオススメします。
レモンのビタミンCにより水道水内の塩素が中和され、レモンの風味によりとても飲みやすい水になります。
朝1杯飲む方は、寝起きから飲みやすいおいしい水を飲めたほうが良いですよね。
肌荒れや髪質に影響があるから
カルキを含んだ水は肌荒れや髪質に問題を起こす可能性があるので、水道水内からカルキを抜かなければいけません。
塩素はタンパク質を破壊する効果を持つため、タンパク質で構成された肌や髪の毛を壊してしまいます。
ただこれには諸説あり、「塩素を含んでいるという意味では、シャンプーやボディーソープのほうが肌や髪に影響があるのではないか」と考えている人もいます。
全員が、カルキを含んだ水道水によって肌荒れや髪の痛みを引き起こしているわけではなく、絶対に影響があるとは言えません。
しかし、「自分は肌が弱い方だ」、「シャンプーを変えても髪質の痛みが気になる」という人はカルキを抜いた水道水を利用してみましょう。
メダカや金魚を飼育したいから
メダカや金魚などの飼育水は、カルキの除去が必須。
魚類は水質にかなり敏感なため、軟水が硬水に変わっただけで元気がなくなってしまします。
水槽などで利用するなら1度に多量の水のカルキを抜きたいはずなので、汲み置きや市販の中和剤を使ってカルキを抜くのがオススメ。
汲み置きは時間がかかりますが1度にバケツ1杯など多量にカルキ除去ができますし、中和剤を使えば時間すら短縮できますね。
カルキを抜かなくてもきれいな水を使う3つの方法
カルキ除去の方法はどれも手間と時間がかかるため、正直面倒に感じますよね。
カルキを抜く作業をしなくてもきれいな水を使う方法はあるので、3つ紹介します。
- ミネラルウォーターを購入する
- ウォーターサーバーを利用する
- スーパーで無料飲料水をもらう
詳しく解説します。
ミネラルウォーターを購入する
スーパーでミネラルウォーターを買うという方法は、お金と手間はかかりますが、安心しておいしい水を利用できます。
特に海外に行った際は、ミネラルウォーターの購入は必須。
国にもよりますが、海外では水道整備の整っていない国がほとんどで、海外旅行などで安全な水を利用したい場合はミネラルウォーターの購入が一般的です。
例えば、アメリカ圏で水道水を利用できる国はほぼ無く、アジアでも日本とUAEの2カ国のみ。
水道水の飲める国は諸説ありますが、基本的にはミネラルウォーターを購入して、安全な水を利用するのがおすすめですね。
ウォーターサーバーを利用する
ウォーターサーバーを利用すれば、安全でおいしい水をいつでも利用できます。
ミネラルウォーターの購入と違い、購入しに行く手間が省けますし、コップ1つ用意するだけで冷水・温水の両方を利用できます。
月々の維持費がかかるのがデメリットですが、毎日の水の消費量が多い方はウォーターサーバーを利用したほうがお得ですし、満足できるはず。
毎日のインスタントコーヒーや、赤ちゃんのミルクなどにも最適です。
スーパーの無料飲料水をもらう
スーパーではボトルを一回購入したひとには、無料の飲料水を配布していることがあります。
この配布されている飲料水はRO水というもので、RO膜を使って水道水内の不純物をすべて取り除いた水。
不純物を取り除く際にミネラルも取り除かれているため、ミネラルウォーターとは少し違う水ですが、安全に利用できるおいしい水です。
ボトルを一回購入して利用してみるのもおすすめです。
水道水のカルキ抜きは自分に合った方法を選ぶ
水道水のカルキを抜く方法として、以下の7つの方法を紹介しました。
- 水道水を汲み置く方法
- 水道水を沸騰させる方法
- 市販の中和剤を使う方法
- 浄水器を利用する方法
- 水道水に炭を入れる方法
- 水道水にレモン汁を入れる方法
- エアレーションを利用する方法
それぞれにメリット・デメリットがあるため、自分の目的と費用などの条件を考えてから、方法を選びましょう。
またウォーターサーバーやミネラルウォーターの購入など、もっと手間のかからない方法もあるので、こちらの方法も検討するのがおすすめですね。