コンタクトレンズの洗浄液や化粧水などに使用している精製水ですが、使用期限があるのをご存知ですか?
精製水は不純物が除去されているため、腐らないと思っている方も多いです。
たしかに精製水は、水道水などと比べると雑菌が繁殖しにくいですが、絶対に腐らないわけではありません。
今回は、精製水は腐ってしまう原因と、使用期限について紹介していきます。
今後の精製水の取り扱いにおいて、参考にしてみてください。
精製水とは不純物が取り除かれた純水
精製水とは、水から菌や微生物などの不純物を除去した純水です。
ろ過の際に、非常に細かいフィルターを使用するため、微生物の他にミネラル分までも除去されてしまいます。
精製水には大きく分けて下記の3種類に分けられます。
- 蒸留水
- イオン交換水
- RO水
使用用途としては、医療用・美容用・工業用が主です。
工業用に使用される理由としては、ミネラル分が含まれないため、精密機器の洗浄などに適しているためです。
ミネラル分が含まれてしまっていると、配管に詰まってしまい、故障に繋がってしまいます。
精製水は基本的に腐らない
精製水は、結論から言うと腐りません。
水が腐る原因は、細菌や微生物がタンパク質の分解によって、水の状態を劣化させるためです。
精製水は、菌や微生物はもちろんミネラル分までも除去されているため、腐る要素がありません。
しかし、精製水が腐らないのは、密閉されている状態のみであり、開封されてしまうと腐ってしまう可能性があります。
異物や雑菌が混入すると腐る可能性がある
精製水は、基本的に腐りませんが、異物や雑菌が混入してしまうと腐る可能性があります。
1度でも開封してしまうと、空気中の細菌が精製水に混入してしまうため、劣化が進んでしまいます。
腐った水の見分け方としては、見た目と匂いがあります。
目で見て、濁りや白い浮遊物、薄い粘膜がある際は、使用してはいけません。
また、匂いを嗅いでみて、酸っぱい匂いなどのいつもと違う異臭がした際も、使用はやめておきましょう。
なんとなく水の透明度が低いと感じたら、使用を控えるのをおすすめします。
未開封状態でも期限が設定されているのは、精製水が腐るためではなく、容器が劣化する危険があるためです。
精製水の使用期限
精製水には、安全で衛生的に使用するために、使用期限が設定されています。
未開封と開封済みで、使用期限は大きく異なるため、2つ合わせて紹介します。
未開封では2~3年
未開封の精製水の使用期限は、2~3年ほどに設定されています。
種類によって異なりますが、基本的に2~3年が多いです。
前半でも述べたように、この2~3年というのは、精製水自体の期限ではなく容器の期限と言えます。
開封後は冷蔵か常温かで異なる
開封後では、冷蔵保存と常温保存で使用期限が異なります。
開封済みの精製水がある方は、参考にしてください。
冷蔵保存では約1か月
冷蔵保存では、約1か月保存できます。
しかし、雑菌がどの程度混入しているかにも左右されるため、1週間~2週間ほどで使い切るのがいいでしょう。
精製水に、化粧水や他の物を混ぜている場合は、雑菌が繁殖している可能性が高いため、1~2日で使い切りましょう。
常温保存では1日
開封済みを常温で保存する際は、その日のうちに使い切りましょう。
常温保存は、冷蔵保存と比べて、雑菌の繁殖スピードが早いです。
そのため、できるだけすぐに使い切りましょう。
精製水を清潔に保つための方法5選
精製水を保存する際は、未開封・開封済み問わず、直射日光が当たらない冷暗所で保存しましょう。
必ず密閉容器に入れ、雑菌が混入しないよう保存してください。
密閉していても、日光や湿度が高い場所に置いておくと、雑菌が繁殖しやすくなってしまうため、注意しましょう。
精製水を使用する際は清潔な手で
精製水は殺菌剤が入っていない水ですので、菌が付着している手で触ってしまうとたちまち水の中に雑菌が繁殖してしまいます。
手には様々な細菌や微生物が付着していますので、少しでも触れることで精製水の中に侵入してしまいます。
水道水は殺菌や塩素が入っているので、一定期間であればそのまま使用できますが、精製水は非常にデリケートです。
精製水を使用するときには気を遣うことが重要です。
凍らせない
一般的には凍らせることで雑菌が繁殖しにくくなるといわれていますが、凍らせることで精製水の中で雑菌が繁殖してしまう可能性があります。
塩素が含まれていないので、凍らせることで一定の温度まで冷凍されても生きられる微生物が繁殖してしまう原因にもなりかねません。
また凍らせることで容器が膨張してしまいますので、破裂して冷凍庫の他のものから雑菌が繁殖してしまう可能性があるので注意が必要です。
蓋をしっかりと密閉する
精製水を清潔に保存するためには、蓋をしっかりと密閉することも大切です。
空気にも雑菌が含まれていますから、少しでも蓋をあけっぱなしにしていると、空気中から雑菌が入る原因にもなりかねません。
使用したらすぐに密閉する習慣をつけておきましょう。
直射日光を当てない
直射日光を当てないことも、精製水を補完する上で重要です。
直射日光の元に置いておくことで、水質が変化してしまう可能性があります。
水温が上がって水質が変化することで、雑菌の繁殖の原因になってしまう可能性があるのです。
直射日光を当てないように、暗所で保管することをおすすめします。
高温多湿の場所に置かない
精製水を補完するときには、高温多湿の場所に置かないことも大切です。
高温多湿の場所に保管してしまうと、雑菌の繁殖の原因になってしまいます。
湿気の少ない気温の低いところで保管することを心がけましょう。
精製水の使い道
精製水には、様々な使い道があります。
- スキンケア
- ヘアケア
- コンタクトレンズの洗浄液
- 汚れ落とし
- 車のバッテリー液
- 化粧水
それぞれどのように使用するのかを紹介します。
スキンケアに使用する
精製水は、スキンケアに使用できます。
水道水で洗顔後は、肌に塩素が付着したままになっており、放置していると肌荒れを起こしてしまいます。
精製水には、塩素を中和する性質があるため、仕上げに精製水で顔を洗うと、肌へのダメージを軽減できます。
また、精製水を使用した後の肌は、化粧水や乳液が浸透しやすくなるメリットもあります。
精製水自体には保湿効果がないため、化粧水と乳液の使用は必須ですよ。
ヘアケアに使用する
精製水は、ヘアケアにも使用できます。
水道水に含まれる塩素は、髪を痛めてしまう恐れがあります。
しかし、シャワーの水を全て精製水にするのは難しいため、仕上げに精製水を振りかけるようにしましょう。
精製水が塩素を中和してくれ、髪へのダメージを軽減できます。
仕上げに精製水を使用すると、ヘアオイルや洗い流さないトリートメントが浸透しやすくなるため、女性の方は1度試してみてください。
コンタクトレンズの洗浄液として
精製水は、コンタクトレンズの洗浄液として多く使用されています。
水道水には不純物が含まれているため、水道水で洗浄すると不純物がレンズを傷つける恐れ
精製水には不純物が含まれないため、コンタクトレンズの洗浄液に適している
目に直接入れるもののため、精製水は新しいものを使用してください。
洗濯での汚れ落としに
精製水には不純物が含まれないため、汚れを吸着しやすい性質があります。
洗濯の水を全て精製水にするのは難しいため、気になる個所に精製水をつけて、トントンと叩くようにすると汚れが落ちやすくなります。
汚れを擦る必要がないため、衣服へのダメージを最小限に抑えられます。
車のバッテリー液の代用として
精製水は、車のバッテリー液としても使用できます。
通常、車のバッテリー液には希硫酸が用いられています。
希硫酸の代用として、精製水は使用可能です。
不純物が含まれないため、バッテリーに悪影響を与える心配がないため、安心して使用できます。
化粧水として
精製水は、化粧水の原料として使用できます。
精製水は、浸透性が高いため、化粧水の原料に適しています。
精製水単体では、化粧水として使用できないため、作り方を紹介します。
精製水での化粧水の作り方
精製水での化粧水の作り方は、以下の通りです。
- 100㎖の精製水に、グリセリン小さじ2分の1を入れる。
- 精油を3滴入れる。
- 軽く混ぜて完成。
化粧水を入れる容器は、必ず熱湯消毒をしてください。
また、保存などの理由から、100㎖以上は作らないようにしましょう。
使用期限が過ぎた精製水は虫よけスプレーに!
「1度開封してしまったけど、使い道がなくて期限が切れてしまった!」という方のために、使用期限が過ぎた精製水の使い道を紹介します。
使用期限を過ぎた精製水は、肌や髪につけると悪影響を及ぼす危険があるため、虫よけスプレーとして使用するのがおすすめです。
作り方は簡単で、以下の通りです。
- 精製水40㎖にエタノール10㎖を入れる。
- そこにハッカ油を10滴ほど加えて完成。
簡単に作れるため、夏場などに使用してみてはいかがでしょうか。
精製水と水道水の違いは含まれている成分
精製水と水道水の大きく異なる部分は、含まれている成分です。
水道水には、塩素・鉄分・トリハロメタン・ミネラル分などが含まれています。
水道水は、衛生面を保つため、塩素などを用いて消毒を行っています。
そのため、様々な成分が含まれてしまいます。
しかし、精製水は、水道水に含まれているような不純物が除去されており、純水に近い水となっています。
未開封状態では、精製水の方が水道水よりも、長期間保存ができます。
しかし、開封状態ですと、精製水は消毒剤などが含まれていないため、水道水よりも保存ができません。
水道水の使用期限
水道水の保存期間も精製水と同じで、冷蔵保存と常温保存で異なります。
水道水に含まれる塩素は、時間の経過とともに減少していくため、あまり長期間の保存はできません。
精製水とは大きく異なるため、参考までに紹介します。
冷蔵保存では約10日
水道水は、冷蔵で約10日保存できます。
精製水とは異なり、雑菌や不純物を含むため、冷蔵で保存していたとしても徐々に雑菌が繁殖してしまいます。
そのため、精製水よりも保存期間は短めです。
常温保存では約3日
水道水は、常温で約3日保存できます。
精製水の保存期間は1日だったのに対し、水道水が3日も保存できる理由としては、塩素にあります。
精製水には、塩素などの不純物が含まれていないため、常温で保存するとすぐに雑菌が繁殖してしまいます。
しかし、水道水は消毒剤である塩素が含まれているため、雑菌の繁殖を抑えることができます。
しかし、絶対に3日保存できるわけではないため、飲む前に見た目や匂いを確認しましょう。
精製水は自分で作れる?
精製水は自分で作ることも可能です。
鍋と金網とボウルを氷を活用して、蒸留水を活用して作ります。
但し自宅で定期的に作るのには少々面倒くさいですから、ウォータースタンドという水道直結型のウォーターサーバーを使用する方が手っ取り早いです。
精製水は適切な保存をしましょう!
いかがだったでしょうか。
精製水は、基本的には腐りませんが、適切な保存ができていないと腐ってしまう危険があります。
特に開封後では、空気中の雑菌が混入してしまうため、すぐに腐ってしまう可能性も。
精製水を利用している方は、今回の記事を参考にして、適切に保存をするようにしましょう。