荒川の黒スーツ集団「荒川Clean-aid Forum」を知っていますか?
彼らは環境保全や水質保全などの取り組みなどを行っている法人団体で「海ごみゼロアワード」で最優秀賞を受賞した実績があります。
様々な活動を行っていますが、中でも特徴的なのは月に1回~2回の頻度で主催している荒川の清掃活動です。
この清掃活動は一般の人も参加可能で、毎回多くの人が清掃ボランティアに参加しています。
今回はこのサイトの運営自身が荒川Clean-aid Forumさんが主催の荒川のごみ拾いボランティアに参加してきました。
この記事ではボランティアに参加した時の様子や、荒川Clean-aid Forumさんがどのような団体なのか詳しく紹介していきます。
荒川Clean-aid Forumが取り組んでいる6つの主な活動
荒川Clean-aid Forumさんは、ごみの種類と数を調査する「調べるごみ拾い」を中心に荒川の環境保全活動を行っているNPO法人です。
荒川Clean Aid Forumさんが行っている6つの主な活動を紹介していきます。
荒川クリーンエイド
クリーンエイドとは、「Clean(きれいにする)+Aid(助ける)」の造語で、様々な団体や人々と共にごみ拾いを通じて豊かな自然を取り戻す活動です。
ただごみを拾うのではなく、落ちているごみの種類や数を記録する「調べるごみ拾い」を実施しています。
調べるごみ拾いではごみの実態を把握するだけではなく、「なんでこんなにもごみが落ちているのか」「どの様な種類のごみが多いのか」などの気付きが生れ、ごみ問題と向きあうきっかけにつながります。
生物多様性の保全
河川にごみがたくさん落ちていると、環境汚染や生き物たちへの悪影響に繋がり、生態系が大きく崩れる可能性があります。
実際に荒川に生息している生物の中には、絶滅危惧種に指定されている生物も多くいます。
そこで生物多様性の保全活動として、外来生物や外来植物の駆除、上中流域との交流事業や各河川との連携などの活動も実施しています。
環境教育
親子向けイベント、小中学校の総合学習支援、指導者育成講座の開催などを通じて、子どもたちの環境教育にも力を入れています。
また、企業の社員を対象とした環境教育支援や自然環境や海洋ごみ問題をテーマにした研修プログラムの企画・運営も実施しています。
水質調査
毎年6月に全国で開催されている「身近な水環境の全国一斉調査」に参加し、市民が身近な川の水質への関心を高める活動も実施しています。
一見きれいに見える川でも水を汲んで調査してみると、目に見えないごみや汚れがあり、生物の生態系に影響を及ぼしているケースがあります。
そんな状況を打破すべく、一般の人と共に定期的な水質調査を実施して、生物が暮らしやすい川づくりの活動を行っています。
流域・全国との連携
「源流部での間伐材の運び出し」や中流域で「荒川流域水環境シンポジウム」などの交流活動も開催しています。
また、ごみ拾い競争を行う「大学対抗!ゴミ拾い甲子園」やマラソン大会とコラボして開催された「ARAKAWAクリーン駅伝」河川敷自転車マナーの啓発を進めているサイクリスト団体とのコラボごみ拾いなど、非常にユニークな活動も展開しています。
情報配信
メールマガジン、出版物、ニュースレター、Webサイト、SNSなどあらゆる媒体で、これまでの成果や活動の状況を社会に発信しています。
また、オリジナル紙芝居を使用して川の生態系やごみが捨てられている現状などを伝え、子どもの環境意識を高める活動も行っています。
荒川Clean-aid でのボランティア風景をお届け!
ここからは実際に荒川河川敷で開催されたクリーンエイドの様子をお届けしていきます。
開会式の様子
まずはごみ拾いに関する概要や注意事項などの説明です。
どの様なごみが落ちているのか、川沿いでごみ拾いをする際にはどのようなことに気を付けるべきなのかなど、小さいお子さんが多かったのでかなり丁寧に説明されていました。
説明が終わってごみ拾いのチームが決まり、さっそくごみ拾いを始めようとしたその時!こんなカードが配られました。
この「調べるごみ拾い調査カード」は、荒川Clean-aid Forumさんのごみ拾いボランティアで活用され、拾ったごみの種類と個数を記入するためのカードです。
アメリカの環境NGOのオーシャン・コンサーバンシーが推奨しているICC調査活動の一環なのだそうです。
ICC調査を実施しながらごみ拾いをすることにより、下記の目的意識をもってごみ拾いができます。
- 世界共通のごみのデータと比較できる
- ごみ発生源対策に向けてデータが活用できる
- データをもとにごみ問題の気付きを促す
ごみ拾いスタート!
4人1組のチームを組んで、ごみを拾いをする場所に移動すると、様々なごみが落ちているのを目の当たりにしました。
バイクのヘルメット。
不法投棄と思われる冷蔵庫や、プラスチックごみの数々。
写真に写っていない箇所や茂みの中にも大量のごみが捨てられていました…
想像していた数倍の量のごみが捨てられているのを目の当たりにし、普段気付かないところでこれだけのごみが捨てられていることに驚きました。
冷蔵庫を運んでいる時の様子。
小さなごみから大きなごみまで様々で、「ごみを拾いはこんなに大変なのか…」と痛感しました。
そんなこんなで、約1時間のごみ拾いは終了。今回のボランティアで拾ったごみがこちらです。
- 燃えるごみ×36袋(45ℓ)
- PETボトル×9袋(45ℓ)
- 燃えないごみ×4袋(45ℓ)
- びん×2袋(20ℓ)
- 缶×8袋(20ℓ)
- 冷蔵庫などの粗大ごみ
改めて見てもかなりの量のごみですが、今回掃除した場所は毎年数回掃除している箇所なので、他の場所と比べると比較的少ないのだそうです。
別の場所ではどのくらいのごみが落ちているのでしょうか…。
因みに、拾ったごみに関しては国交省や自治体(江戸川区)と荒川Clean-aid Forumさんが適切に回収、処分をしてくれるそうです。
ボランティアに参加してみて
ごみ拾いの時間は1時間半くらいでしたが、まだまだ落ちているごみがたくさん残っていたので、もう少しやりたいと思ました。
同じグループだった人も、「1時間だと短いですよね…」「1日かけてやりたい!」と言っており、同じような気持ちを持っていて少し嬉しかったです。
普段何気なく過ごしていると、ごみ拾いをする機会もないので、環境問題やごみに対する意識が高くなったのも実感しました。
日常に潜むごみ問題の弊害
河川のごみ問題は、現代において由々しき環境問題となっており、大きく3つの弊害があります。
- マイクロプラスチック
- 自然環境への悪影響
- 経済的な損失
マイクロプラスチック
プラスチックごみが川や海で紫外線や物理的な作用で、直径5mm以下になったものや成型前のプラスチック原料(レジンペット)はマイクロプラスチックと呼ばれます。
そもそもプラスチックは自然界で分解されるのに非常に長い時間がかかります。
マイクロプラスチックを飲み込んだ魚を人が食べることによって、人の体内にもプラスチックを取り込んでしまう可能性があります。
人間は1日にクレジットカード1枚分(5g)のプラスチックごみを食べていると言われています。
環境への悪影響
プラスチックごみがポイ捨てされたり、適切に処理されなかったりすることで、街なかのごみが川を伝って海に流され、海洋プラスチックごみになります。
プラスチックごみは難分解性であるため、海洋汚染や生物の生態系に影響を及ぼしてしまいます。
今後10年間に世界中で、河川へ、そして最終的には海へ流れ込むプラスチックの量は少なくとも年間2,200万トンから、場合によっては5,300万トンに達するとみられています。
参考:NATIONAL GEOGRAPHIC【海のプラ汚染、現状の対策でも悪化の一途、研究】
経済的な損失
プラスチックごみは経済的な損失にもつながると危惧されています。
2018年にOECD(経済協力開発機構)が発表した調査によると、海洋プラスチックがアジア・太平洋地域に与える損失は年間672憶円にも上ると予想されているのです。
さらに、ごみの回収や漁業への悪影響、船舶への事故などを含めると損失は膨大なものになります
荒川Clean-aid Forum のボランティアに参加して環境問題を見つめ直そう!
ごみを捨てるのは一瞬ですが、ごみを拾うとなると、処分も含めてかなりの労力がかかります。
ごみをポイ捨てするのはマナー違反以前に人としての問題です。そのため。ごみのポイ捨ては絶対にNGです。
環境問題を悪化させないために大切なのは、一人一人の思いやりや心がけです。
ポイ捨てをしないのはもちろんのこと、ごみを分別して適切に処理する、少しでも環境をよくする意識を持つなどが重要です。
荒川Clean-aid Forumではほぼ毎月ごみ拾いのボランティアを主催しており、体を動かしつつ楽しみながら環境問題に向き合うことができます。
ごみ問題を少しでも改善したいと思った人は、ぜひボランティアに参加してみてください。