2020年、未曾有の感染症大流行による外出自粛の風潮の中で「宅飲み」の需要は高まっていると言えます。
仕事帰り、たっぷりあるおうち時間。
普段お酒を飲まない人でも試しに1本、チューハイを買い物かごに入れ、リラックスモードで飲んでみることもあるでしょう。
年末年始の親戚同士の集まりは控えているものの、お歳暮やお年賀にビールのケースを贈りあう傾向も見られます。
さて、こんな風に日頃お酒を飲み慣れていない人や、ちょっとはめを外して飲みすぎちゃった人の中には、翌朝「二日酔い」を経験することもあるのではないでしょうか。
せっかく気持ちよくお酒を飲んだのに、翌日だる〜いなんて……台無しですよね。
そんな二日酔いの状態の時にこそ、飲んでほしいのは、「スポーツドリンク」です。
スポーツドリンクを飲めば、二日酔いで失われた「水分」「糖分」などをすばやく吸収するのに優れているからです。
この記事では二日酔いがスポーツドリンクで打破できる理由を、
- アルコールを分解する肝臓のはたらきを踏まえて
- 二日酔いというのはどういう状態のことを指すのか
- スポーツドリンクを飲むことがどんないいことをもたらすのか
という順番で説明したいと思います。
ひたすらはたらく「肝臓」という臓器
生きるために必要なものを分泌したり、不要なものを排泄したりする「腺」という器官の中でも最大といわれているのが「肝臓」です。
「沈黙の臓器」と言われ、病気になっても症状が現れにくく、85%が壊れてもはたらき続けることができるのです。
大切にしてあげなければなりません。
この「肝臓」ですが、大きく分けて3つの仕事を持っています。
- 胆汁(消化液)を作る
- 栄養素を溜めたり変化させたりする
- 毒を中和する
このうち「⒊ 毒を中和する」という仕事によって、アルコールを分解し、中和していくのです。
肝臓に入ったアルコールは、
- 「アセトアルデヒド」という物質に分解
- さらに「アセテート」(酢酸)に分解
- 血液にのって全身をめぐる「アセテート」
- 水と二酸化炭素に分解、排出される
これが、アルコール代謝の主な流れです。
アルコールを分解するスピードには個人差があります。
体質的に、お酒に弱い人、女性の人は分解により時間がかかると言われています。
なぜ起きる? 二日酔いの原因
このアルコール代謝の段階で、肝臓が「アセトアルデヒド」を分解しきれないことから「二日酔い」の症状は起こります。
アルコールが残るほど飲む、要は「飲み過ぎ」が原因です。
アルコールが分解されてできる「アセトアルデヒド」はまだまだ有害な物質。
吐き気、頭痛、動悸、胸やけなどを引き起こすはたらきがあります。
お酒をたくさん飲み過ぎると、肝臓が「アセトアルデヒド」を処理しきれません。
処理できなかった「アセトアルデヒド」は血液によって全身をめぐり……
その毒性によっていわゆる「二日酔い」の症状があらわれるのです。
アルコールは刺激があるので胃も荒れます。
また、利尿作用もあり体内の水分が奪われ、脱水症状になることも。
これらもより二日酔いの不快な症状を引き起こしやすい原因になります。
水とはちがう! スポーツドリンク3つの特徴
運動する時や、熱中症対策、体調不良時など。
昨今、スポーツドリンクを飲む人は多いのではないでしょうか。
ふつうに水分を摂取するのなら、ミネラルウォーターでもいいんじゃないの?
確かにそうですね。
でも、スポーツドリンクにはふつうのお水にはない優れた特長があるのです。
- 糖分やミネラルなどがバランスよく入っている
- 甘味があっておいしく飲みやすい
- 体の中に水分を保つ力が強い
糖分やミネラルなどがバランスよく入っている
運動したときに失われがちな電解質やミネラルを含んでいるのがスポーツドリンクの特徴です。
また、疲労回復の際のエネルギー源になる糖分や、回復の助けとなるクエン酸。
アミノ酸類やビタミン類などが入ったものも多いです。
これらの成分がバランスよく吸収されるように入っています。
ちなみに「経口補水液」といわれる飲料は、ナトリウムの含有量がスポーツドリンクよりも多くなります。
甘味があっておいしく飲みやすい
甘味があって飲みやすいのもスポーツドリンクの魅力の一つではないでしょうか。
甘味料も使用していますが、飲みやすさの秘訣は「浸透圧」です。
ヒトの体液に近い濃度、浸透圧なので、水分や糖分、塩分がバランスよく、すばやく吸収されるのがスポーツドリンクです。
おいしいと思う飲料は飲みやすいため、十分な水分量を摂取しやすいといえます。
体の中に水分を保つ力が強い
スポーツドリンクのように、水や電解質のほかに適度に糖分を含む飲料は、水だけ、もしくは水と電解質だけの飲料よりも水分保持率が高いといわれます。
水分が逃げずにとどまってくれるから、運動時などの脱水からの回復が早く、効果的なのです。
スポーツドリンクが二日酔いにいい3つのワケ
そんなスポーツドリンクが二日酔いのシーンでも効果を発揮するのです。
スポーツドリンクは、アルコールを飲みすぎたことによる「脱水」からの回復を促します。
「脱水状態」はそれだけで頭痛やめまいなど、さまざまな不快な症状を引き起こす原因となります。
吐き気があるときは、無理に食事を摂らなくても大丈夫。
でも水分は摂らなければ、体がカラカラの状態です。
まずは自分が飲みやすい飲料で水分補給をするべきなのです。
二日酔いのときに飲むスポーツドリンクがいいワケは大きく3つです。
- ふつうの水よりも水分の吸収がしやすい
- 荒れた胃にやさしく摂取できる
- 糖分の摂取でだるさも軽減
ふつうの水よりも水分の吸収がしやすい
前章のスポーツドリンクの特長でも触れましたが、脱水が起きている状況では、水分の吸収の良さは大切な要素です。
アルコールの利尿作用によって失われた水分、電解質、ミネラルなどが一度に吸収できるのでスポーツドリンクは最適な飲料といえます。
荒れた胃にやさしく摂取できる
塩分が含まれていることからふつうのお水より胃に刺激を与えず、体に負担にならないといわれています。
なるべく常温で、少しずつ飲んだ方がより効果的に水分の吸収ができるでしょう。
糖分の摂取でだるさも軽減
「アルコール(毒)を中和する」肝臓は「糖質(栄養素)を溜めたり変化させたりする」という仕事も持っています。
この変化された糖質(グリコーゲン)は、夜にエネルギー源として血中に放出されるのですが……
お酒を飲んでいる時はアルコールの分解を優先させます。
その間「糖を変化させ蓄える」仕事はストップしてしまうのです。
結果、からだの中の糖分が不足し低血糖症となり、頭痛やからだのだるさの症状の原因になるのです。
スポーツドリンクなら、不足した糖分もカンタンに摂取することができます。
また、糖分のほかにも肝臓のはたらきを高めるとするビタミンB群やアミノ酸が含まれたスポーツドリンクもあります。
これらも二日酔いになってしまったあとの対策として有効になるかもしれません。
二日酔いにならないための対策も大切
二日酔いになったらスポーツドリンクがあるから大丈夫〜。
でも、せっかくお酒を楽しく飲むのであれば、最後まで楽しいものでありたいです。
わざわざ翌日に苦しい思いをする必要もありません。
もちろん「お酒を飲みすぎないこと」が一番の対策になるのですが、そのほかにもできることが2つあるので紹介します。
空腹で飲まない
アルコールの吸収は、胃でおよそ20%、残り大部分は小腸で吸収されるといわれます。
先に胃の中に食べ物を入れておくと、食べ物の消化のためにお酒もしばらく胃にとどまります。
急激にアルコールを腸へ送ることもなく、体への負担が少なくなります。
また、空っぽの胃にアルコールを入れるときよりも胃への刺激も軽減されます。
事前に少しでもお腹に食べ物を入れておくだけで、胃からの吸収スピードもかなり緩めることができるといわれます。
先に枝豆など、ちょっとしたおつまみを食べておくのも有効だということです。
強いお酒は薄める
アルコール度数の高い、強いお酒は酔いが回りやすく、肝臓への負担も大きいです。
ストレートで飲むのは避け、水やお茶、お湯などで割って飲むのをおすすめします。
また、合間にこまめに水を飲むことも大切です。
体内のアルコール濃度を薄め、利尿作用による脱水を防ぐことができるでしょう。
翌朝のいざというときにスポーツドリンク
二日酔いの原因は、主にお酒の飲み過ぎによって、肝臓がアルコールを分解しきれないのと脱水状態によるものでした。
これを防ぐために事前対策をしっかりするのも大切。
それでも翌朝、具合が悪くなってしまったら、スポーツドリンクで効率よく「水分」「塩分」「糖分」などを摂取することができます。
年末年始以外にも、どうしてもお酒を飲まなければならない場もあるでしょう。
決して無理はせず、からだを第一に考えて上手にお酒とお付き合いしていきたいものです。
たのしく気持ちよく、おいしいお酒が飲めますように〜。